お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
「瑞希。そんな顔をして一体どうしたんですか? 不安なことがあるなら隠さずに教えてください。それとも車内のような狭い空間だと、昨日のことを思い出して怖いんですか?」

 康弘はすごく真摯な表情だ。彼が瑞希を大切にしようとしてくれているのは改めて聞かなくても分かる。問題は愛を育めているかどうかだ。

 瑞希は小さく首を横に振って「怖くはないです」と伝えてから、彼の顔を真剣に見た。

「つかぬことをお伺いしますが……康弘さんは私のことどう思っているんですか? 私に恋情的なものってありますか?」
「恋心はありません」
「……そ、そうですか」

 すかさず返ってきた言葉に愕然とする。手足が急速に冷えてきて、涙が滲んでくる。

 恋などしたくないと言っておきながら、ひとたび彼を好きになってしまえば彼と恋をしたいと思ってしまう都合のいい自分が嫌になる。瑞希は泣かないようにぎゅっと唇を噛んだ。が、続いて飛び出してきた言葉に目を大きく見開く。


「恋ではなく愛ですから」
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