お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜

理性の箍を外して

 自宅に到着すると、リビングのソファーに荷物を置き、ジャケットを背凭れに掛ける康弘を視線で追う。彼は瑞希の手を引き一緒にソファーに座り頭を撫でてくれた。

「色々あって疲れたでしょう。お茶を淹れてくるので、ゆっくり休んでいてください」
「ま、待ってください。お茶はいいから……」

 離れたくなくて立とうとしている康弘に全体重をかけて力いっぱい抱きついた。不意をつかれバランスを崩してよろけた彼が、ソファーの上に倒れたのをいいことに彼の上に乗る。


「瑞希?」
「ごめんなさい。今はくっついていたい気分で……その……抱きついていてもいいですか?」

 照れ臭くて目を合わせられない。
 瑞希が顔を真っ赤に染めながらそう言うと康弘が小さく目を見開いた。彼の首裏に手をまわして、おずおずとキスをする。

「好きなだけどうぞ」

 破顔した彼の手が瑞希の後頭部にまわる。そのままぐっと引き寄せられて、また唇が重なった。何度か触れるだけのキスを繰り返す。

 その時、お尻に硬いものが当たって息を呑んだ。

「……っ!」
「ベッドに行きませんか? もう我慢できそうにありません」
「は、はい。私も……康弘さんに抱いてほしいです」

(夢のように抱いて?)

 瑞希が小さく頷くと抱き上げてくれる。甘えるようにすり寄ると康弘の手に力がこもった。

 お互いの心臓の鼓動を感じながら、寝室へ向かう。
 部屋に入ると、彼が優しくベッドにおろし覆い被さってくる。

 ベッドの軋む音に心臓が張り裂けそうなくらいドキドキした。


「愛しています。瑞希のすべてを俺にください」

 掠れた声で囁き瑞希の太ももを撫で上げながら、スカートの中に手が入ってくる。瑞希はその手をそっと押さえた。

「全部あげるから、私にも康弘さんのすべてをください」
「もちろんです。元々瑞希のものですよ」

 その返事を合図に自ら康弘にキスをし、彼の口の中に舌を入れて吸った。

 康弘ほどのテクニックはないが、それでも懸命に彼の舌に自分の舌を絡めていると、彼が太ももを撫でていた手を背中にまわした。瑞希が少し体を浮かせると、一気にワンピースのファスナーがおろされる。

「あ……康弘さっ……」
「瑞希」
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