大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「そんなに怒らないであげて。実際とても助けられているのよ」
「そうですよ。そうやって四條くんが怒ると思ったから、そちらの開発チームに花秋さんが参加できなかったんです」
「あ、あのね……。自分の知識を色々と試してみたんだけど、どうしても最後のところで上手くいかなくて……もちろん危険性は理解しているし、安全性が確保できているかと問われればできてはいないんだけど。でも少しでも糸口を見つけられればと……」

 めちゃくちゃ小さな声でぼそぼそと言い訳をする侑奈を睨みつける。すると、侑奈が「だって……」と泣きそうな顔をした。

「侑奈のじいさんが、侑奈の大学院進学を反対した理由がよく分かったよ。侑奈は研究者に向いていない」
「そんな……」
「四條くん、それは言い過ぎです!」
「言い過ぎなもんか! 研究や開発の過程で躓くたびに自分の体で試すのか? そんなことをしていたら、気がついたら体がボロボロになっているぞ! それどころか死んでしまうかもしれない」

 侑奈を庇う森岡を怒鳴りつけると、二人が押し黙る。隆文は今にも泣きそうな顔で謝ってくる侑奈の顔を掴んだ。

「……っ!」
「それで? 毒の耐性って何? まさかそれも自分の体で試した結果得られたものだって言わないよな?」

 隆文が問い質すと、侑奈の顔が見る見るうちに青ざめていき、しまいには縮こまり蚊の鳴くような声でまた「ごめんなさい」と謝った。


「隆文、少し落ち着きなさい。侑奈ちゃんが怯えているわ」
「ばあさんこそ、なぜ許したんだ? 有益な成果を得られた? そんなの結果論に過ぎないだろ。侑奈に何かあったら、どうするつもりだったんだ!」

 ここは会社で会長である祖母に、部下としての線引きが必要だとかそんなことは今は考えられなかった。
 ひとつ間違えば侑奈を失っていたのかもしれない。彼女たちも侑奈自身も、有益な研究成果のために『侑奈の命』を危険にさらしたのだ。

(たとえ侑奈だとて、そんなこと許せない……!)
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