大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜

篠原教授

「はぁ~っ」

 大きな溜息をついて、侑奈はトイレ後に手を洗いながら鏡を見つめた。いっぱい泣いたせいかひどい顔をしている。

(でも私以上に隆文のこと泣かせちゃった)

 めちゃくちゃ心配をかけるようなことをしたところで侑奈が想いを告げたものだから、色々なものが決壊したのだと思う。

(家に帰ったら改めて謝らなきゃ……)

 あの調子では中々怒りがとけないと思うので、信用を取り戻すためには長期戦を覚悟したほうがいいだろう。

 侑奈は両頬を叩いて気持ちを入れ直し、涙で崩れたメイクを直した。


「お待たせして申し訳ありませんでした」
「いえ。社長は先ほどとは違う部屋で待っているらしいので、ご案内いたします」
「え……でもあんなに応接室から動くなと言っていたのに?」

 女子トイレから出て警備員に頭を下げると彼女はそう言って歩き出した。侑奈の疑問には答えてくれず無表情でエレベーターに乗り込む彼女に途端に不安になる。

(一階に降りるのかな? 隆文に連絡して確認してみようかしら……)

 だが、一階に行くと思ったのにエレベーターは地下へと向かった。とてもじゃないが部外者が立ち入ってはいけないエリアな気がして、侑奈は足を止めた。
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