大嫌いな幼馴染みはどうやら私のことが好きらしい
「あ、あの……四條社長に確認の連絡がしたいので少し待っていただけますか?」
「もう着きましたので、ご自分で確認されてください」
(着いた? でもここは……)
メッセージアプリを起動した途端そう言われて、視線を上に向ける。ドアのプレートには倉庫と書かれていた。
なぜここに連れてこられたのか分からず狼狽えると警備員がドアを開ける。
「どうぞ」
「いえ、中に入るのはやめておきます……。もし四條社長がいるなら呼んできてください」
侑奈は隆文に『地下倉庫』とだけメッセージを送り、彼女との会話が証拠として残るように、こっそりボイスメモを起動させてからスマートフォンをポケットに放り込んだ。
「入っていただかないと私が叱られます」
その言葉と共に、無理矢理中に引っ張り込まれてすっ転ぶ。
「痛……」
そこはあまり使われていないのか埃っぽかった。
転んだままゲホゲホと咳き込むと、室内にドアが閉まる音が響く。続いてガチャリと鍵までかかる音が聞こえて血の気が引いていった。
「ど、どうして、こんなことを……? やめてください! 今すぐドアを開けて」
立ち上がって彼女を睨みつけると、背後からくつくつと笑う声が聞こえてハッとする。おそるおそる振り返ると、篠原教授がいた。
「教授……なぜここに?」
(警備はどうなってるの? なぜ教授が社内に入れるの?)
侑奈は思った以上にざるな警備体制に唖然とした。いや、人の出入りが多い大企業だからこそ紛れ込めたのだろうか。
あとで隆文に警備の見直しについて言及しなければと考えながら、侑奈は息を呑んで篠原と向き合った。
(メッセージに気がついた隆文が、すぐに助けに来てくれるはずだわ。それまで頑張らなきゃ)
すごく怖いがここで怯えを見せるのは逆効果だ。侑奈はきゅっと唇を引き結んで怖さに耐えた。
「もう着きましたので、ご自分で確認されてください」
(着いた? でもここは……)
メッセージアプリを起動した途端そう言われて、視線を上に向ける。ドアのプレートには倉庫と書かれていた。
なぜここに連れてこられたのか分からず狼狽えると警備員がドアを開ける。
「どうぞ」
「いえ、中に入るのはやめておきます……。もし四條社長がいるなら呼んできてください」
侑奈は隆文に『地下倉庫』とだけメッセージを送り、彼女との会話が証拠として残るように、こっそりボイスメモを起動させてからスマートフォンをポケットに放り込んだ。
「入っていただかないと私が叱られます」
その言葉と共に、無理矢理中に引っ張り込まれてすっ転ぶ。
「痛……」
そこはあまり使われていないのか埃っぽかった。
転んだままゲホゲホと咳き込むと、室内にドアが閉まる音が響く。続いてガチャリと鍵までかかる音が聞こえて血の気が引いていった。
「ど、どうして、こんなことを……? やめてください! 今すぐドアを開けて」
立ち上がって彼女を睨みつけると、背後からくつくつと笑う声が聞こえてハッとする。おそるおそる振り返ると、篠原教授がいた。
「教授……なぜここに?」
(警備はどうなってるの? なぜ教授が社内に入れるの?)
侑奈は思った以上にざるな警備体制に唖然とした。いや、人の出入りが多い大企業だからこそ紛れ込めたのだろうか。
あとで隆文に警備の見直しについて言及しなければと考えながら、侑奈は息を呑んで篠原と向き合った。
(メッセージに気がついた隆文が、すぐに助けに来てくれるはずだわ。それまで頑張らなきゃ)
すごく怖いがここで怯えを見せるのは逆効果だ。侑奈はきゅっと唇を引き結んで怖さに耐えた。