大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「脅すんですか?」
「そんなつもりはないよ。ただちゃんと知ってほしいって思っただけ。それに子供の頃のことを挽回させてほしいとも思ってる。そろそろ謝罪を受け入れてくれよ」
「た、隆文くんは私と……結婚してもいいと思ってるんですか?」
「思ってるよ」

(え……)

 飛び上がるくらい驚くと、彼に腰を抱かれる。押しのけようとするが、びくともしなかった。

「それで、今日接してみてどうだった?」
「え……えっと……昔と変わって優しくなった、とは思います。ちょっとだけ……」
「なら、一緒にいられるよな?」
「そ、それはまだ分かりません……。第一、仲直りできても、好きになれるかは別問題じゃないですか。それは隆文くんだってそうですよね?」
「俺は……侑奈のこと可愛いと思ってたから結婚の話が出て嬉しいよ」

 そう言って、手の甲にキスをしてくる隆文に、目を見張る。

 この人は一体誰だろうか。甘い雰囲気を出して迫ってくる男が、過去の隆文と重ならなくて混乱する。もう泣きそうだった。

(私のこと困らせて遊ぼうと思ってるの?)

「とりあえずデートでもするか」
「え、無理です」
「俺のこと知りにきたなら、意欲的にそういう場を設けるべきだよな? 将来、うちで働きたいんだろう?」

(そんな……)

 なんと切り返していいか分からずに押し黙る。侑奈の沈黙を肯定と受け取ったのか、隆文が嬉しそうに立ち上がった。
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