大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「無茶しすぎだ。あんなに煽って本当に連れ去られて四肢を切られたらどうするつもりだったんだ!」
「会社の中だったので、隆文がすぐに来てくれると信じていたから……」
「それでもだ。殴られて頭打ちつけてるんだぞ。打ちどころ悪かったら大変なことになってたんだ。頼むから危ないことはやめてくれ」
「ごめんなさい」

 謝ると隆文が強く抱きしめてくれる。彼は侑奈を抱きしめたまま、侑奈の意識が戻ったことを伝えるためにナースコールに手を伸ばした。すると、押すよりも先に「馬鹿者!」という祖父の怒鳴り声が聞こえて二人して飛び上がる。


「侑奈の意識が戻ったら報告しろと言ってあっただろう。何のためにここへの滞在を許してやったと思っているのだ! イチャつかせるためではないぞ!」
「も、申し訳ありません……。でも今俺、皆を呼ぼうと……」
「言い訳はいらん!」

(やばいわ……めちゃくちゃ怒ってる)

 叱られるのはもちろん当たり前のことなのだが、鬼のような形相をした祖父が怖すぎて、侑奈は隆文の後ろに隠れた。
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