大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜

エピローグ

「はぁ~っ、疲れた」
「あはは。お疲れさま」

 侑奈がぐったりとベッドに倒れ込むと、兄が呑気に笑いながら病室に入ってきた。ちなみに隆文は廊下で玲子たちとお話し中だ。

 祖父の雷が落ちたあと、祖母や両親、玲子や隆文の両親まで代わる代わる会いにきて、そのたびに泣かれ、叱られ、謝られ……めちゃくちゃ大変だった。

 心配をかけただけに仕方がないが、すごく疲れてしまったので、兄のお説教まで聞く余裕がない。侑奈はベッドから少し体を起こし、兄を見た。


「お兄様もお説教にきたの?」
「ううん。もう充分なくらい皆から叱られただろうし、僕からは診察と今後の診療計画の相談だけだよ」
「診療計画……? 何それ? 検査で異常がなかったら帰れるんじゃないの?」
「大体の検査は侑奈が眠っているときにしたけど、侑奈が自分の体で試した篠原の薬の影響についてはまだ調べられてないんだ。本当に何の影響もないか……徹底的に検査しようね」
「え……でも私、本当に大丈夫なのに」
「そんなの分からないじゃないか。見えないところで何かが起きている可能性は十二分にあるし、何より気を張った状況だからこそ症状が抑えられていた可能性もある」

 色々なことを考えて調べなければと笑顔で詰め寄ってくる兄の圧に負け、侑奈は首肯した。

(気力で抑えられるようなものじゃないと思うんだけど……)

 でもそれだけのことをやらかしたので、甘んじて受けようと思う。

 兄だけじゃなく、皆の声や表情からは心配や後悔、懺悔――色々なものが伝わってきた。侑奈のことをこんなにも愛し大切にしてくれる皆を二度と悲しませないように努めなければと、本気で思う。
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