大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
(やっとだ……。やっとチャンスが巡ってきた)

 警戒しながら身を縮こまらせソファーに座るメイド服姿の侑奈に視線を向ける。

 侑奈はとても可愛く育った。
 長くつややかなストレートの黒髪に、華奢で色白な体。こちらを見上げる瞳は吸い込まれそうなくらい大きく、声は鈴がなるように可憐だ。

(やっぱりすごく可愛いな……)

 侑奈は分かっていないのだろうが……メイド服を着た彼女は破壊的なほどに愛くるしい。正直誰にも見せたくないほどだ。
 侑奈と仲直りをしようと何度も試みて、中学のときは頻繁に悠斗の家に遊びに行ったものだが、侑奈はこちらを警戒するように見ていても近寄ってきてくれたことはなかった。そんな侑奈が今自分の側にいる。手を伸ばせば届く位置で、自分と話をしてくれている。

(嗚呼、感動だ……当時は何度謝罪の申し入れをしても聞く耳すら持ってもらえなかったのに……)

 自分が蒔いた種なのだが、いつしかそんな関係にしんどくなってきて、高等部に入る頃には侑奈との仲直りを諦めて、色々な女の子と遊ぶようになった。

(そういえば……そのときに侑奈への気持ちを改めて自覚したんだよな)
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