大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
正直、思ったより楽しかった。
お互い緊張しているから沈黙になることもしばしばあったが、別に嫌な沈黙ではなかった。
手を繋いでお屋敷に帰る途中、ちらりと彼の横顔を盗み見る。
(隆文くんと一緒に過ごす時間はしんどくて疲れるだけと思っていたけど全然そんなことなかったわ。でもそれは私が楽しめるように色々気を遣ってくれたからなのよね)
その気遣いが伝わるだけに、彼との時間は気まずさなんてなく、むしろ心地良かった。
ふふっと笑って、先ほどゲームセンターで彼が取ってくれたぬいぐるみの子犬に視線を落とす。茶色と黒の二つを取ってくれたのだ。
最初は四條家の御曹司がゲームセンター!? と思ったが、彼はゲームセンターや雑貨屋など普通の中高生が行くようなところで、侑奈とデートをしてみたかったらしく、とても嬉しそうにしていた。
彼の楽しそうな表情に、もし昔から仲が良かったら学校帰りにこうしていたのかなと、侑奈まで想像してしまったほどだ。
「ねぇ、隆文くん。このワンちゃん一つどうぞ」
「え、なんで? 取れて、すごく喜んでいたじゃないか。俺のことは気にしなくていいよ」
「ううん。今日の記念にお互いの部屋に飾っておきましょう。そうしたら今日のことを思い出して、いつでも楽しい気持ちになれますし。私もこの子を見るたびに、隆文くんはもう怖くないって思えます」
今後楽しいことばかりじゃないかもしれない。衝突することもあるだろう。でもそういうときはこの子犬を見れば、彼は怖くないと分かる。
袋から取り出して一つ渡すと、隆文が嬉しそうに笑った。その笑顔に心臓が撃ち抜かれる。
(……っ!)
「ありがとう。侑奈だと思って大切にするよ。毎晩一緒に寝る」
「それはやめてください」
「なんで? あ……もしかして気持ち悪い?」
「気持ち悪くはないけど……恥ずかしいから……」
なんだろうか。眉尻を下げて侑奈を見つめる隆文が子犬に見える。まるでこのぬいぐるみのようだ。
(その顔は反則だわ)
「侑奈だと思ってとか言ったけど、別に変なことしないよ?」
「当たり前です!」
「なぁ、一緒に寝ていいか?」
「……っ! 好きにしてください!」
お互い緊張しているから沈黙になることもしばしばあったが、別に嫌な沈黙ではなかった。
手を繋いでお屋敷に帰る途中、ちらりと彼の横顔を盗み見る。
(隆文くんと一緒に過ごす時間はしんどくて疲れるだけと思っていたけど全然そんなことなかったわ。でもそれは私が楽しめるように色々気を遣ってくれたからなのよね)
その気遣いが伝わるだけに、彼との時間は気まずさなんてなく、むしろ心地良かった。
ふふっと笑って、先ほどゲームセンターで彼が取ってくれたぬいぐるみの子犬に視線を落とす。茶色と黒の二つを取ってくれたのだ。
最初は四條家の御曹司がゲームセンター!? と思ったが、彼はゲームセンターや雑貨屋など普通の中高生が行くようなところで、侑奈とデートをしてみたかったらしく、とても嬉しそうにしていた。
彼の楽しそうな表情に、もし昔から仲が良かったら学校帰りにこうしていたのかなと、侑奈まで想像してしまったほどだ。
「ねぇ、隆文くん。このワンちゃん一つどうぞ」
「え、なんで? 取れて、すごく喜んでいたじゃないか。俺のことは気にしなくていいよ」
「ううん。今日の記念にお互いの部屋に飾っておきましょう。そうしたら今日のことを思い出して、いつでも楽しい気持ちになれますし。私もこの子を見るたびに、隆文くんはもう怖くないって思えます」
今後楽しいことばかりじゃないかもしれない。衝突することもあるだろう。でもそういうときはこの子犬を見れば、彼は怖くないと分かる。
袋から取り出して一つ渡すと、隆文が嬉しそうに笑った。その笑顔に心臓が撃ち抜かれる。
(……っ!)
「ありがとう。侑奈だと思って大切にするよ。毎晩一緒に寝る」
「それはやめてください」
「なんで? あ……もしかして気持ち悪い?」
「気持ち悪くはないけど……恥ずかしいから……」
なんだろうか。眉尻を下げて侑奈を見つめる隆文が子犬に見える。まるでこのぬいぐるみのようだ。
(その顔は反則だわ)
「侑奈だと思ってとか言ったけど、別に変なことしないよ?」
「当たり前です!」
「なぁ、一緒に寝ていいか?」
「……っ! 好きにしてください!」