大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「分かったわ。じゃあ、こうしない?」
「え……?」
「卒業後、うちでメイドのアルバイトをして、自分の目で隆文の人となりを確認してみたらいいわ」
「メイド? 玲子さん、それはさすがに……」
「今の隆文を知ってそれでも無理だと言うなら私も諦めるわ。もちろんそのアルバイトを終えたときは、侑奈ちゃんの好きなところで働かせてあげる」

(えっ!? 好きなところで?)

 大学卒業後は祖父の指示で実家が経営する病院で薬剤師として働く予定だったのが、玲子の言葉に心が躍った。

「そ、それって……研究所でもありですか?」
「ええ、もちろんよ。もしかして創薬研究に興味があるの?」
「はい。大学院に進む道も考えたんですけど、おじいさまが女は学びすぎては駄目だって許可してくれなかったんです」
「……何それ。相変わらず化石のような頭の固さね。それならまずはうちにいらっしゃい。創薬研究を経て病院薬剤師に転身する人もめずらしくないから、後々(のちのち)侑奈ちゃんが自分の意志で選べばいいわ」
「ありがとうございます! 是非お願いします!」

 意気揚々と玲子の手を取る。
 隆文への嫌悪感より将来の夢が勝った瞬間だった。

(少しだけ我慢してメイドとして働けば、好きなことをさせてもらえるなんて素敵……!)
< 3 / 127 >

この作品をシェア

pagetop