大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「何をしてもらおうかな……。あ!」
「え? なんですか?」
「いい。やっぱりやめとく。怒られそうだし……」

 いいことを思いついたという顔をしたのに、途端に落ち込んだ表情に変わる隆文に、首を傾げる。

(一体何を頼もうとしたの?)

「怒られそうって……何を思いついたんですか? 気になるので教えてください」
「……ありがとうのキスがほしいなって思っただけ」

(え……)

 叱られた子供のように項垂れて、蚊の鳴くような声でそう言った隆文に瞠目する。侑奈の反応にまずいと思ったのか、彼は「嘘。嘘だから」と言って、部屋を飛び出して会社に行った。


「……」

 彼の部屋に一人残されて、ベッドにぽすっと倒れ込む。

 時間が経てば経つほど、隆文が言った言葉が自分の中に染み込んでいって、もう叫び出しそうだった。

(あ、あ、あの人……何、考えてるの!?)

 顔を真っ赤にして、ベッドの上をごろごろと転がる。


「た、隆文って私のこと好きなのよね?」

 彼の態度から薄々気づいていたものの、口に出すと変な感じだ。

(なんで? いつから?)

 再会して間もないのに早くないかと考えを巡らせる。

 そういえば彼は最初から結婚してもいいと言っていた。それに再会当初からとても優しく接してくれている。それは過去の後悔からだと思っていたが……
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