大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「ちょっと待ってくれ。今朝のことは冗談だって言っただろ。律儀なのか馬鹿なのか知らないが、真面目に受け取るなよ」
「ば、馬鹿!? だって貴方も言ってたじゃないですか。絶対私と結婚するつもりだって。なら、いずれはそういうこともしなきゃいけないだろうから、それならこの機会に相性を試してみたほうがいいと思ったんです。それなのに馬鹿だなんてひどい!」

 口が滑った隆文にくわっと目を剥いて反論してくる侑奈に、頭が痛くなってくる。

 一応侑奈なりにちゃんと考えたみたいだが、危うすぎて心配になる。

(よく今まで詐欺にあわなかったな……こいつ)

「少し優しくされたくらいで嫌いだった幼馴染みに簡単に絆されるところが馬鹿って言ってるんだよ。チョロすぎだろ」
「……もういいです。分かりました」

 隆文が大きく溜息をつくと、侑奈がふいと視線を逸らした。

(やば……)

 その侑奈の表情に、言い過ぎたことを悟る。だがそれと同時に、彼女を傷つけてしまったことを焦っている自分と拗ねている表情の可愛さに興奮しそうになっている自分が両方いて嫌になる。
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