大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜

昨日のお礼③

「んっ、ぁ……」

 自らしたキスを合図に隆文の腕の中に閉じ込められ、強引に唇を貪られる。煽ったのは自分だが、その性急さと部屋を包む何ともいえない雰囲気に負けてしまいそうだった。

「んぅっ!?」

(し、舌が……)

 侑奈が強く目を瞑ったとき口の中に彼の舌が入ってきて、その熱さに目を見開く。

 初めてするキスに戸惑いつつも、隆文に舌を強く吸い上げられると、思考に靄がかかってうまく頭が働かなかった。酸欠だからだろうか。

「んぅ……ちょ、ちょっと……待っ……ぁ」 
「待てない。俺の言うこと聞かないで、このキスをはじめたのは侑奈だろ。今さら止まれるかよ」

 喉の奥で軽快に笑う隆文に胸の鼓動が加速する。その胸中を悟られたくなくて、侑奈は目を伏せて視線を外した。彼はそんな侑奈の頬を撫でて、またキスをしてくる。くちゅくちゅと舌を絡めて吸いながら、彼の手が侑奈のお尻を撫でた。

「んっ、待っ……お尻、触らなっ……あっ」

 感触を楽しむように動く隆文の手に体がビクッと震えて、慌てて彼の胸を叩く。手の動きは止まったが、かわりに自分を見る彼の瞳に息を呑む羽目になった。

(た、隆文の目……ちょっと怖いかも……)

 まるで獲物を前にした肉食獣のような瞳に少し怖気づいてしまう。隆文の服を縋るように掴むと、彼は纏めている侑奈の黒髪を解いて丁寧に指を通すと、ぎゅっと抱き締めてきた。
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