大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「じゃあ今日と明日はここで過ごそうか。週末だし、ちょうどいいと思うんだ。俺の実家とは全然違うだろうし、何より結婚したときのシミュレーションにもなるし、いいと思うんだけど、どうかな?」
「え? それは嬉しいですけど……いいんですか?」
「もちろんだよ。それにそのつもりで、秘書に頼んで食材やレディースのパジャマとか買ってきてもらったんだ。むしろ断られると、昼間の彼の苦労が無駄になる」

(嬉しい!)

 マンションは屋敷と違って全部を自分たちでやらなければならない。それを経験できるのは、とても楽しみだ。

 隆文の気遣いが嬉しくて、高揚した足取りで玄関をくぐる。すると、オートで電気がつき真っ白なタイルの廊下が出迎えてくれた。


「ここが風呂で、あっちがトイレ。それから、この部屋が書斎ね。どの部屋もだけど、侑奈が入っちゃいけない部屋はないから、好きなように寛いでくれ」
「ありがとうございます」

 一つ一つ丁寧に案内してくれる隆文の話を聞きながら、ついてまわる。
 そしてリビングに入ると、横浜ベイブリッジが一望できるバルコニーが目に飛び込んできた。

「わぁ、素敵……! 夜景がとても綺麗ですね」
「だろ。俺もそこが気に入ってるんだ」

 隆文の無邪気な笑顔に、侑奈もつられて笑顔になる。

 リビングはイタリアンモダンでコーディネートされていた。モノトーンやビビットカラーでまとめられたスタイリッシュなデザインのインテリアが、洗練された大人の空間を演出している。

「機能的で無駄がなくて、いいですね」

 ダークグレーのソファに赤とオレンジのクッションをコーディネートした色合いがとても好みだ。それにリビングの片面が夜景を一望できるバルコニーにつながっているので、開放的な印象も受ける。侑奈はリビングを眺めながら、つい顔が綻んだ。

(前から思ってたけど、隆文とは趣味が合う気がするなぁ)

「あ、そっちの部屋は一応ゲストルームなんだけど、使ってないから侑奈が使うといいよ。ちなみに隣は俺の寝室ね」
「え? 私のお部屋をもらってもいいんですか?」
「ああ。だからこれからも泊まりにきてよ」
「はい!」

 胸を高鳴らせ、リビングに並んだ左側のドアを開く。そこはリビングと打って変わって北欧テイストでまとめられていて、侑奈の心を鷲掴んだ。

(可愛い!)

「侑奈の好きなように変えていいから。今度選びに行こうか?」
「いいえ。このままで充分です。私好みで、めちゃくちゃ気に入りました」

 侑奈はソファーに置かれた草花柄のクッションを抱き締め、破顔した。
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