大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「ゆ、侑奈、そ、それ……」
「ご主人様が望んだからですよ……えへへ、なんちゃって。やっぱり恥ずかしいですね。こういうのは慣れません……」

 羞恥が限界を超えて、苦し紛れに笑う。だが、自分の顔以上に隆文の顔が赤く染まったのに気がついて、次は侑奈が固まった。耳まで染めて硬直している隆文に胸がきゅんとなる。

(あ、可愛い……)

 彼も恥ずかしがっているのが分かって、途端に気が大きくなった侑奈は少し悪戯心が芽生えた。

「メイド服が好きなんですか?」
「そういうんじゃなくて……侑奈が着るからこそいいんだ……」
「へぇ。だから、入浴後に着てほしかったんですね。まさか仕事中の私をいつもそういう目で見てたとか?」
「……っ」

 頬を指でつつくと隆文が露骨に口籠もり、侑奈から目を逸らす。

 意地悪な質問だと自分でも思うが、可愛いこの人を――かつて自分がされていたように困らせてみたい。そんな衝動に駆られた。

(どうしよう。私を虐めていた隆文の気持ちが少し分かっちゃったかも)

「きゃっ!?」

 にんまりと笑った瞬間、突然体が宙に浮く。抱き上げられたのだと気づき咄嗟にしがみつくが、隆文は何も言ってくれないまま侑奈を抱えて大股で歩き出した。

(ちょっとやり過ぎちゃったかしら)

 侑奈がどうしようと困惑していると、隆文は自室のドアを開け、侑奈をやや乱暴にベッドに落とした。
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