大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「……っ!」

 そして隆文もベッドに乗ってくる。スプリングの軋む音に、血の気が引いていった。

「た、隆文? 怒ってるんですか?」
「別に怒ってなんてないよ。ただ……」
「ただ?」

 侑奈がベッドの上をジリジリと後退すると、足首を引っ張って引き寄せられてしまう。そのまま押し倒して覆い被さってくる隆文は、子供のころの意地悪な表情をしていた。そんな彼にごくりと息を呑む。

 隆文は何も答えてくれないまま、人差し指を侑奈の唇にあててくる。そしてもう片方の手が頬に伸びてきて、ゆるやかに首筋へとすべった。彼の行動に心臓が痛いくらいに鼓動する。動揺しすぎて上手に言葉を紡げない。

「侑奈」

 囁くように名前を呼ばれ、また唇を指でなぞられる。彼の指の感触と指から伝わる彼の体温に、一気に心拍数が上がった。

「た、隆文。調子に乗ってごめんなさい。少し揶揄うだけのつもりだったんです。怒らないで……」
「怒ってないよ。ただ……したり顔で俺を揶揄ってくる侑奈が可愛すぎて我慢できなくなっただけ。なぁ、侑奈。俺も風呂に入ってからと思ったけど、このまま襲っていい?」

 そう問いかける隆文の瞳の中に、困惑し動揺する自分が映っていると感じた瞬間、二人の唇が重なった。

「んっ……」

 漏れ出た吐息と共に力強く抱き込まれて、唇の合わせ目から口内に舌が入ってくる。
 その彼の行動に心臓がけたたましく鼓動した。激しく動きすぎて胸が痛いくらいだ。

「ふっ……ふぁ、んっ」

 舌を絡められ軽く吸われると、息が上がった。唇の隙間からくぐもった声が漏れる。
 彼は問いかけたが、侑奈の返事を必要としていないようだ。でも今ここでストップをかけることがデリカシーに欠けることくらい侑奈にだって分かる。

 侑奈が観念して隆文の背中に手を回すと、ようやく唇が離れた。でも間をおかずに、すぐ重なり合う。

「っ……っんぅ」

 くちゅくちゅと水音を立てて好きなように唇を味わい尽くしている隆文に置いていかれないように必死で侑奈も舌を伸ばす。

(うまく息できなっ……)

 目に涙が滲む。侑奈が隆文の服を縋るように掴むと、隆文が緩慢な動きで唇を離した。そして熱い息を吐き出しながら、侑奈の首筋に顔をうずめてくる。

「どうしよう……。初めては優しくしてあげたいと思うのに……加減ができないかも。侑奈を啼かせたくてたまらないんだ」
「な、泣くのは嫌です。優しくしてください……」
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