大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
 ***

「あ! あそこの蛍光灯切れてる……」

(交換しなきゃ)

 キョロキョロと見回しても、皆忙しそうなので、気づいた自分がやろうと新しい蛍光灯を取りに物置に行く。

「あら?」

 天井が高めなので自分の身長では絶対に届かないと予想をつけて椅子を持ってきたのだが、それでも届かなかった。背伸びをし、目一杯手を伸ばして蛍光灯を掴む。


「は、外れない……!」

 力を込めて引っ張ってみたり、片方の端を押してみたりしても、どうにも外れない。

(何これ。どうしてこんなに固いの?)

 今まではお手伝いさんがいたし、こういうことは父や兄がしてくれていたので、蛍光灯なんて変えたことはなかったが、こんなにも難しいものだとは思わなかった。

 身長が足りなくて、手元がよく見えないのがいけないのだろうか。

「うーん。一回説明書とか読んでみたほうがいいのかしら……」

(それか、誰かに頼む?)

 侑奈が手を止めて照明器具を睨みつけていると、突然廊下の曲がり角から隆文が顔を出した。

「あれ? 何してるんだ?」
「っ!? きゃあっ!」

 驚いた侑奈が体勢を崩して落ちそうになったとき、大きな手で背中を支えられる。

(た、隆文くん……!) 

「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です! あ、あの……離して」

 隆文の気遣わしげな声と彼に支えられている状況に落ち着かず、体が逃げてしまう。その瞬間、椅子がガタンと倒れた。

(お、落ちる……!)
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