大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
「ごめん」

 恨み言を漏らすと、隆文がすかさず謝ってくれる。だが、彼の本心を読み取ることができなくて侑奈はジッと彼の顔を見た。

(本当に悪いと思っているのかしら……)

 隆文の性的嗜好には薄々気がついていた。隆文は侑奈を追い詰め、泣いて身悶えている姿に愉悦を感じているのだ。彼は侑奈を宝物のように大切に扱ってくれるが、ベッドの中では意地悪に侑奈を翻弄する。

 それ自体は悪くはないが、侑奈にだって許容範囲というものがある。侑奈が不満げな表情をしていると、彼がバツの悪そうな顔で頬を掻く。


「ごめん。ちょっと意地悪が過ぎたよな? 最近の侑奈、俺に甘いから……そのうえ婚約だろ。つい調子乗っちゃったんだ」
「……嘘つき。誤魔化さないで、はっきり言えばいいじゃないですか。本当は玲子さんや同僚との話で婚約を決めたことを怒ってるって」

 本来ならその場で返事をするのではなく、一度保留にして隆文と話し合ってから返事をするべきだった。大切なことなのに、隆文を放置して決めてしまったのだ。だからきっと彼のプライドを傷つけたのだろう。

 だからと言って、こんな八つ当たりの仕方は酷いけれど――


「嘘なんてついてない。正直、俺だけだとこんなに早く侑奈を頷かせられなかっただろうし、むしろ有り難いと思ってるよ」
「で、でも……」
「侑奈、俺はどんな惨めな姿を晒したとしても君が俺のものになってくれるなら別に構わないよ。そんなことでヘソを曲げたりしない」
「じゃあ、どうしてあんなこと……」

 隆文の真剣な物言いに混乱する。
 侑奈が揺れる目で彼を見ていると、彼が「えっと……」と言い淀む。

「私に言えないことなんですか?」
「そうじゃなくて……。実は俺……侑奈とこういう大人の玩具を使いたい願望が少なからずあって……だから、婚約OKしてくれたって聞いて、今日なら勢いで許されるんじゃないかって思ったんだ」

 そう言って苦笑いする隆文に、侑奈はポカンと口を開ける。彼のせいで体の熱がどこかにいってしまいそうだ。
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