大嫌いな幼馴染と婚約!?〜断ろうと思っていたのに彼の謝罪と溺愛に搦めとられました〜
 隆文が思案を巡らせていると、悠斗が二本の瓶を目の前に差し出した。それは鮮やかなピンク色と青色をしていて、なんとも美しい。

「なんだこれは? 香水か?」
「媚薬と解毒剤かな。といっても、解毒作用は一切ないけどね。調べたところ、青色のほうはただの色水だったよ」
「は?」

 隆文が怪訝な顔をすると、悠斗が困り顔で笑う。

 彼の話によると、近頃夜の街でこれが大量に出回っているらしい。青のほうを飲めば大丈夫と騙された女性たちが、お酒の力も相まって深く考えずに媚薬を飲んでしまい大変なことになっているそうだ。


「ピンク色のほうは服用後数分で極度な興奮状態を引き起こし、性行為を求める。でもどうやら神経毒が含まれているようだから扱いには注意が必要なんだ」
「神経毒? 媚薬なのにか?」
「うん。おそらくだけど、アルコールと蛋白質の相互作用により麻痺を引き起こすと僕は考えているよ」
「そんなの酒飲んでセックスしたら一溜りもないじゃないか」

 愛液も精子も蛋白質を含んでいるのだから、麻痺が起きて当然だ。媚薬に神経毒を混ぜて既に酔っている者にこれを飲ませセックスをさせる。ばら撒いた人間の予想どおりに人が倒れていって嘸かし愉快だっただろう。

(くそが……)

 侑奈含め屋敷の使用人や四條製薬グループの全社員に気をつけるように通達する必要があるなと考えていると、悠斗が言葉を続ける。
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