私の二度目の人生は幸せです
44 クリア条件
ロニが土偶人形という土魔法でゴーレムを3体作ると、ゴーレムは自動で索敵して木の裏に潜んでいるゴブリンを見つけて向かった。
その間に私が水魔法で刃物状にして切断すると落ちてきたエマをロニが抱きとめる。「ひゃん!」と可愛い声が聞こえた。
戦闘中なのでほのぼのとしていられない。誘導糸矢という魔法を発動する。こういう木々が入り組んだ場所でもカクカクと自動で曲がっていきながら対象を射ぬく。
8発撃ったところで誘導糸矢が軌道を変えなくなったのでゴブリンを掃討したのがわかった。
ロニのゴーレムはまだ残っているので、しらみつぶしにゴブリンが仕掛けた罠を潰して回ったら、まだ3つもあった。
ようやく森の恵みの収穫に入る。ロニとエマが手分けしてキノコを採る。キノコは毒があるかもしれないので、とりあえず素手で触れないよう手袋をして収穫する。私は私で魔法で空を飛んでリンゴを1個もぎ取るとリンゴを私の認識魔法で知覚させ、空間魔法で半径50メートル以内のリンゴを一瞬で目の前に山になるほど取り寄せた。
同じように木の実、食用の葉、山芋などを収穫した。
ロニとエマが収穫してきたキノコは私が食べられるものと毒キノコに分別する。
魚を釣りに行った班はまったく釣れずに終わったらしい。釣りの腕が悪いというより池のなかに魔物がいたため、魚が隠れてさっぱりだったそうだ。
でも森に入った私たちの班の食料で十分条件は満たしていた。
条件達成と同時に遠いところで光の柱が昇っている。あの場所が次の層へ降るところだと思うが、無理することはない。朝になるまで透明な家のなかで寝ることにした。
夜中にゴブリンの襲撃を受けたが、透明な家はセーフティーエリアになっている。扉は施錠しているので、中に入って来れず、音もまったく聞こえないので無視した。ゴブリンは日中は薄暗い森のなかに潜む習性があるので、朝になれば去るだろう。そして特に脅威はなく朝が来た。
さっそく光の柱が立ち昇っているところへ向けて移動した。そこには無機質な壁があり、第2層へ降りる階段の口がぽっかりと開いていた。
この無機質な壁は昨日から気になっていたが1層の周囲がだいたい2,000メートルくらいの真四角な形をしている。
階段の中はしばらく暗かったが、ある程度降ると、第2層の景色が見えた。片側が透明なガラスのようなもので保護されていて、景色を眺めながら下まで降りきった。
階段の段数を降りる前から数えていたが、ちょうど1,000段あったので、一段の高さはだいたい20センチくらいとすると1層の高さは約200メートルくらいになる。
階段から出てすぐのところにセーフティーエリアがあったので、第2層のクリア条件を確認した。
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ダンジョン2層のクリア条件
制限時間内に真銀製の弓を手に入れる。
制限時間:1時間57分46秒
制限時間内に入手できない場合はリセットされ翌日朝8時に再挑戦ができる。
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制限時間のカウントがどんどん進んでいて、私たちがこの層についてからすぐにカウントが始まったと考えられる。
すぐに3班に分かれて探すことにした。
私とレオナード皇子。サラサとミラノ、オポト。ロニ、ウェイク、エマの各班で探知魔法が得意なひとをひとり配置するために私、ミラノ、エマが各班にそれぞれ入った。
この層にもゴブリンがいて、ゴブリンを倒しながら捜索したが、この日は見つからなかった。
日中の残りは食料を調達する時間にあてた。夜になって、今日の反省を踏まえて明日の作戦を練る。
「おかしい、ほとんどのエリアを回ったのに見つからないなんて、弓は金属でできているからすぐに探知で引っ掛かりそうなのに……」
私の発言にミラノが顎に手をやり、呟いた。
「もしかして、単純な探しものではないかもしれませんね」