半分こ
 私には少し年の離れた、妹がいる。

 そして私の家庭では、
 「1つしかないものは、二人で半分こするように」
 と言い聞かせられていた。
 だから、おやつだって、
 おもちゃだって、なんでも半分こしてきた。


 ある時、妹が病気になって
 入院することになった。

 私は毎日、毎日、見舞いに行った。
 きっと、治療は子どもの妹には、きついものだったのだろう。
 
 妹は、そのたびに
 
「お姉ちゃん、半分こして」
 
 と可愛い目をうるうるとさせながら、私の服を掴んで甘えてくる。
 
 だから私は、
 
 「いいよ。お姉ちゃんと半分こしようね」
 
 そう言って、妹の額に自分の額をくっつけて痛みを分け合う“フリ”をしていた。
 
 妹が入院して半年たった頃だろうか。
 私も検査で、入院することになった。
 
 何故、私まで検査をするか分からなかった。
 しかし、母が言うにはもしかしたらこの検査で、妹の治療の糸口が見つかるかもしれないとそう言われた。
 言われるがまま検査を受けていくなかで段々と眠気が襲ってくる。
 うとうとしてると、看護師さんに
 「寝ていてもいいですよ」
 と言われたので、ついつい寝てしまった。


 目が覚めると、薄暗いが手術室にいた。
 「あら起きたの?起きなかったらよかったのに……」
 すぐそばに母がいた。
 しかし、いつもの優しい面影はなく、ニヤニヤと気持ちが悪かった。
 「……お母さん……どういうこと?」
 すると、
 「半分こよ。約束でしょ?」
 そこで、意識は途切れた。


 再び目が覚めると、病室だった。
 しかし、体にどこか違和感があった。
 すると、
 「おはよ!お姉ちゃん」
 妹の声が聞こえる。
 周りを見渡すが、そこには誰もいない。
 「お姉ちゃん、ここだよぉ」
 声が聞こえる方に恐る恐る視線を向けると、
 「おはよ!お姉ちゃん」
 「!?なんで.....!!」
 「うふふ♪約束だもんね!......二人で半分こ」
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