マイ スイート バニィ
私の言葉に、ピリッと緊張が走った。
それまで柔らかい表情だったママの顔が一気にこわばったように思う。
もう、空気だけで伝わってくる。
……私、ハタチまでしか生きられないんだ。
ハタチまでって……案外すぐだよね。
中学を卒業して、高校に入学、それから卒業して。
決めた進路を歩き始めて……すぐ。
そこで私の人生、終わり?
そんなの……あまりにも、辛くない?
男に狙われやすいとか、それだけなんだったらどうにかできたかもしれない。
たとえば鍛えて強くなるとか、逃げ足を速くするとか、ボディーガードを雇うとか。
無茶苦茶かもしれないけれど、きっと、どうにかできたのに。
頭の中が真っ暗な闇に覆われる。
まるで星ひとつない宇宙みたい。
何も見えない。
息が詰まる。
苦しい……。
「……たしかに、魅了の力が発動したバニィたちは、ハタチになると命を落とした」
暗闇の中にパパの絞り出したような声が響いて、私は俯いていた顔を上げた。