マイ スイート バニィ



「ちょっと衣舞!またチョーカー忘れたの!?しっかりしてよ……!」



リビングの扉から顔を出したママは、心配そうに頭を抱えた。



「ごめんごめん」



私はえへへ、と後頭部を掻く。



なぜこのチョーカーが欠かせないのかというと。

魅了の力によって分泌される、特殊な色香を抑える薬が織り込まれているから。



魔女が生きていた頃、薬はたくさんあったみたいだけど、今では薬を作るのに必要な薬草がなかなか手に入らないらしい。

なんとかその薬を入手したパパが、このチョーカーを作ってくれたんだ。



外に出るときはこれを身に付けておかないと、さっきのように男の人に目を付けられて襲われてしまう危険性がある。

しっかりしないとな……

よし。今度こそ!



私は首にチョーカーを巻き付け、後ろでちょうちょ結びをするとママに向かって敬礼をした。



「いってきます!」

「いってらっしゃい。衣舞……ほんとに、気を付けてね」

「うん。大丈夫だよ」



何度もチョーカーを忘れる私の言葉には説得力がないらしい。

ママは心配そうに眉を下げた。




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