マイ スイート バニィ
今日から通う"時森学園高等部"は、電車に乗って20分ほどのところにある。
高校に行ったら……会えるのかな。
"ナイト"に──。
ガタン、ゴトン。
電車に揺られながら、窓の外をぼんやりと眺める。
まだ見慣れないその景色に胸が高鳴ると共に、同じくらいの大きさの不安が押し寄せる。
運命の人を見つけられなかったら……どうしよう。
……ううん、後ろ向きな考えばかりしてちゃダメ。
せっかく今日から新しい生活が始まるんだ。
今は楽しいことだけ、考えよう……!
◇
電車を降りると、数メートル先のところに学校が見えた。
改札を抜け、その立派な校舎に向かって歩いていく。
学校に着くと、玄関口に張り出されているクラス分け表を確認。
あっという間に、自分の教室の、今日から過ごす席にたどり着いた。
周りの席、どんな人が座るんだろう。
仲良くなれそうな人だといいなぁ……。
緊張で、少しだけ肩に力が入る。
右隣は、スポーティな女の子。
左隣は、話しやすそうな男の子。
前の席は、髪の綺麗な女の子。
後ろの席は……まだ、空席だ。
──ガタンッ
しばらくして、背後で椅子の音がした。
それは入学式の説明が始まる直前のことだった。