マイ スイート バニィ
やっと後ろの人、来たんだ。
初日早々ギリギリの登校って……なかなかの強者だな。
どんな人なんだろう。
くるりと、振り返ると……そこにいたのは赤茶色の髪をふわりと揺らす、気だるげな男の子。
艶のある髪の隙間から見えるのは、大きくて鋭い目。
その鋭利な目と視線が合うと、私はすかさず挨拶をした。
「お、おはよう」
「……」
しかし──その男はジーッとこちらを見たまま、一向に口を開かない。
……なんなの、この人。
頬杖をついてガン見してくるその態度に、だんだんと腹が立ってくる。
なんで挨拶が返せないわけ?
常識備わってない系?
……感じ悪いんですけど。
そう思うものの、なんだか先に目を逸らしたら負け、のように感じてなかなか目が離せない。
「……」
「……」
無言で見つめ(睨み)合っていると、教室の前の扉がガラリと開いた。