マイ スイート バニィ



「はーい、君たち。入学おめでと~」



そんな軽い調子で入って来たおじいちゃんは、おそらく私たちの担任の先生だ。

きっと今から入学式の説明をされる。

この男との戦いは一時休戦か……と思った、その時。



「なんかお前……臭い」

「………………は?」



聞き間違いかと思った。

いや、むしろ、そうであってほしかった。

だけどあまりにもわかりやすく、一瞬にして周りの視線がすべてこちらに集まったので、さっきのセリフは本当にこの世に解き放たれたものなんだと理解した。



それにしても……は?

え、えーっと…………は?

臭いって…………はぁ!?



言葉の意味は理解できても、初対面の人間に真正面から臭いだなんて言われる意味がわからない。

これっぽちも、わからない!



「柔軟剤?香水?かなんか知らねーけど、付けすぎじゃね?」

「え、私は何も──」

「入学式だから気合入れてんの?」



こいつ、しばく……!

嫌悪そうに眉をひそめた男に対して、一瞬本当に掴みかかりそうになったけれど。



私はハッとした。

あることが思い浮かんだんだ。

……特殊な色香。



私にとっては無味無臭のそれは、男にとっては違うわけで。

もしかしてこの男は、色香を感じ取ってる……?




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