👢 ブーツに恋して 👢 ~男と女、ブーツとブーツ、二つの恋の物語~ 【新編集版】
プロローグ
👢 1 👢
気になって仕方がない。
隣に座っている女性が身に着けている物が気になって仕方がないのだ。
とにかく目が離せない。
鮮やかなそれから視線を外すことができない。
わたしは本を読むふりをしながら、メガネ越しにチラチラと盗み見していた。
すると突然、彼女はバッグからガムを取り出して噛み始めた。
それは、わたしが今噛んでいるのと同じブランドのガムだった。
なんという偶然。
もしかしたら……、
今後の成りゆきに僅かな期待を抱いていると、彼女が腕時計を見てから入場口の方に顔を向けた。
それにつられて顔を上げた時、すれ違うように彼女は視線を落として、わたしの靴の方に向けた。
ダークブラウンのタッセルローファーに興味を持ったのか、しばらく視線がとどまっていたので、これ幸いとわたしも視線を落として彼女の足元を見た。
今度はチラチラ見ではなくしっかりと見た。
素晴らしい!
その色に吸い寄せられそうになって、思わず感嘆の息を吐いてしまった。
すると、私の視線に気づいたのか彼女が顔を上げたので、慌てて本に視線を戻して、息を殺して様子を窺った。
しかし、気づかれたわけではないようだった。
わたしはほっと胸を撫でおろして、またメガネ越しに盗み見を始めた。
そして彼女の身に着けている物が声をかけてくるのを待った。
待ち続けた。
待ちながら、ふと思った。
最近の自分はどうもおかしいと。
他人の持ち物やペットなどに異常に興味が湧くのだ。
それだけでなく、それらの気持ちがわかるような気がするし、それらの声が聞こえてくることもある。
更に、会話さえもできることがある。
気になって仕方がない。
隣に座っている女性が身に着けている物が気になって仕方がないのだ。
とにかく目が離せない。
鮮やかなそれから視線を外すことができない。
わたしは本を読むふりをしながら、メガネ越しにチラチラと盗み見していた。
すると突然、彼女はバッグからガムを取り出して噛み始めた。
それは、わたしが今噛んでいるのと同じブランドのガムだった。
なんという偶然。
もしかしたら……、
今後の成りゆきに僅かな期待を抱いていると、彼女が腕時計を見てから入場口の方に顔を向けた。
それにつられて顔を上げた時、すれ違うように彼女は視線を落として、わたしの靴の方に向けた。
ダークブラウンのタッセルローファーに興味を持ったのか、しばらく視線がとどまっていたので、これ幸いとわたしも視線を落として彼女の足元を見た。
今度はチラチラ見ではなくしっかりと見た。
素晴らしい!
その色に吸い寄せられそうになって、思わず感嘆の息を吐いてしまった。
すると、私の視線に気づいたのか彼女が顔を上げたので、慌てて本に視線を戻して、息を殺して様子を窺った。
しかし、気づかれたわけではないようだった。
わたしはほっと胸を撫でおろして、またメガネ越しに盗み見を始めた。
そして彼女の身に着けている物が声をかけてくるのを待った。
待ち続けた。
待ちながら、ふと思った。
最近の自分はどうもおかしいと。
他人の持ち物やペットなどに異常に興味が湧くのだ。
それだけでなく、それらの気持ちがわかるような気がするし、それらの声が聞こえてくることもある。
更に、会話さえもできることがある。