【Quintet】
「結城さんは星夜さんの演奏をお聴きになったことは?」
『ない。バンドなど所詮は若者の道楽だ。聴く価値もない』
「YUUKIインターナショナルグループは世界的な大企業です。世界規模の企業の社長ともあろうお方が自分が聴いたことのない音楽を知りもせずに道楽と決めつけるのですか?」
今度は沙羅と結城の睨み合いに星夜は冷や汗が止まらない。栄吉に仲裁を頼もうとしても、栄吉はこの状況で酒を飲み始めて笑っている。
『沙羅さん、少し言葉が過ぎるのでは?』
「申し訳ありません。奔放な父に育てられたので礼儀を知らないんです」
結城に睨まれても沙羅は怯《ひる》まない。
『貴女は星夜の音楽が道楽ではないと?』
「星夜さん達、UN-SWAYEDの音楽が多くの人に愛され支持されているのは事実です。あなたが道楽と切り捨てているものに救われ、励まされている人達がいます。私も演奏家の端くれですが、人の心に届く音楽を産み出している星夜さん達を尊敬しています。私はこれからも彼らの音楽を聴きたい。UN-SWAYEDの音楽には、星夜さんの音が必要なんです」
沙羅の温かい気持ちに星夜は泣きそうになる。葉山沙羅は彼女が奏でるピアノの音色と同じく強く優しい、気高い人だった。
『……星夜。お前はどうなんだ?』
結城が星夜に問いかけた。常に自分の主張を通して人の気持ちを無視する父親が初めて気持ちを尋ねてくれた。
『ない。バンドなど所詮は若者の道楽だ。聴く価値もない』
「YUUKIインターナショナルグループは世界的な大企業です。世界規模の企業の社長ともあろうお方が自分が聴いたことのない音楽を知りもせずに道楽と決めつけるのですか?」
今度は沙羅と結城の睨み合いに星夜は冷や汗が止まらない。栄吉に仲裁を頼もうとしても、栄吉はこの状況で酒を飲み始めて笑っている。
『沙羅さん、少し言葉が過ぎるのでは?』
「申し訳ありません。奔放な父に育てられたので礼儀を知らないんです」
結城に睨まれても沙羅は怯《ひる》まない。
『貴女は星夜の音楽が道楽ではないと?』
「星夜さん達、UN-SWAYEDの音楽が多くの人に愛され支持されているのは事実です。あなたが道楽と切り捨てているものに救われ、励まされている人達がいます。私も演奏家の端くれですが、人の心に届く音楽を産み出している星夜さん達を尊敬しています。私はこれからも彼らの音楽を聴きたい。UN-SWAYEDの音楽には、星夜さんの音が必要なんです」
沙羅の温かい気持ちに星夜は泣きそうになる。葉山沙羅は彼女が奏でるピアノの音色と同じく強く優しい、気高い人だった。
『……星夜。お前はどうなんだ?』
結城が星夜に問いかけた。常に自分の主張を通して人の気持ちを無視する父親が初めて気持ちを尋ねてくれた。