【Quintet】
トレーにたまご粥の入る土鍋とスポーツドリンクのペットボトルを載せて二階へ。これがなかなかに重たく、土鍋を落とさないように階段を上がるのも一苦労だ。
階段を上がって廊下に並ぶ四つの扉の一番目にKAITOの名前のプレートがある。
「……海斗。入るよー」
片手で少しドアノブを押してから身体全体を使って扉を押し開けた。海斗の部屋に入るとベッドの布団が盛り上がっている。
「お粥作ったの。食べられる?」
『……おう』
けだるく起き上がった海斗はまず手渡された冷たいスポーツドリンクを体内に入れた。相当水分を欲していたらしい。
『もちろんお前が食わせてくれるんだよな?』
「……え?」
『俺は病人だぞ。病人に自分で食べろって言うのか』
額に汗を浮かべた海斗はいつもより色っぽく見える。だが尊大な俺様モードは通常通り、むしろワガママ俺様レベルがパワーアップしている。
「……はいはい、わかりましたよ。……はい、あーん」
こうなればやけくそで海斗のワガママに付き合ってあげよう。“あーん”なんて自分で言ってても恥ずかしい台詞に海斗が突っ込んでくれるかと思えば、彼は素直に口を開けて粥を咀嚼している。
熱で少しはおとなしくなったのか?
「美味しい?」
『まぁまぁ』
前言撤回だ。熱で素直にもおとなしくもなっていない。悪態はいつもと変わらずでもたまご粥は残らず食べてくれた。
階段を上がって廊下に並ぶ四つの扉の一番目にKAITOの名前のプレートがある。
「……海斗。入るよー」
片手で少しドアノブを押してから身体全体を使って扉を押し開けた。海斗の部屋に入るとベッドの布団が盛り上がっている。
「お粥作ったの。食べられる?」
『……おう』
けだるく起き上がった海斗はまず手渡された冷たいスポーツドリンクを体内に入れた。相当水分を欲していたらしい。
『もちろんお前が食わせてくれるんだよな?』
「……え?」
『俺は病人だぞ。病人に自分で食べろって言うのか』
額に汗を浮かべた海斗はいつもより色っぽく見える。だが尊大な俺様モードは通常通り、むしろワガママ俺様レベルがパワーアップしている。
「……はいはい、わかりましたよ。……はい、あーん」
こうなればやけくそで海斗のワガママに付き合ってあげよう。“あーん”なんて自分で言ってても恥ずかしい台詞に海斗が突っ込んでくれるかと思えば、彼は素直に口を開けて粥を咀嚼している。
熱で少しはおとなしくなったのか?
「美味しい?」
『まぁまぁ』
前言撤回だ。熱で素直にもおとなしくもなっていない。悪態はいつもと変わらずでもたまご粥は残らず食べてくれた。