【Quintet】
連絡がないのは元気な証拠だと星夜は笑っていたが、3年間も兄の所在がわからない不安はあっただろう。
『私の仕事はここまでです。結城さんに会いに行くのも行かないのも自由です。結城さんの弟さんと話し合って決めてください』
『はい。純夜を見つけてくださってありがとうございました』
異質な雰囲気を放つ探偵が淹れた旨いコーヒーを飲み終えて龍牙と連れ立って事務所を出た。
積もる話もある晴と龍牙は雨に滲む四谷の街で一際賑わう店に立ち寄った。珈琲専門店Edenは雨宿りをする老若男女で溢れている。
運良く座れた二階の窓際の席に二人は落ち着いた。
『律はその後どうですか?』
『ここで仕事始めたよ。まだ試用期間だが、問題がなければ社員として迎えてもらえるよう交渉しておいた。お前も落ち着いたら会いに行ってやれ。最初は気まずくても友達だったんだ。そのうち元通りの関係になれる』
龍牙にはアルバイトを転々としていた律の就職先を相談していた。龍牙に教えられた律の新しい就職先は宅配業者だ。
『純夜のことや律のことも、龍牙さんには面倒かけてすみません』
『水臭いこと言うな。しかし晴は昔っから情に熱いな』
『そんなんじゃないです。天国にいる由芽を悲しませたくないだけの、自己満足の正義です』
人間は自己満足で生きている。嫌われたくない、傷付けたくない、好かれたい、助けたい、突き詰めればどれも自己満足だ。
『私の仕事はここまでです。結城さんに会いに行くのも行かないのも自由です。結城さんの弟さんと話し合って決めてください』
『はい。純夜を見つけてくださってありがとうございました』
異質な雰囲気を放つ探偵が淹れた旨いコーヒーを飲み終えて龍牙と連れ立って事務所を出た。
積もる話もある晴と龍牙は雨に滲む四谷の街で一際賑わう店に立ち寄った。珈琲専門店Edenは雨宿りをする老若男女で溢れている。
運良く座れた二階の窓際の席に二人は落ち着いた。
『律はその後どうですか?』
『ここで仕事始めたよ。まだ試用期間だが、問題がなければ社員として迎えてもらえるよう交渉しておいた。お前も落ち着いたら会いに行ってやれ。最初は気まずくても友達だったんだ。そのうち元通りの関係になれる』
龍牙にはアルバイトを転々としていた律の就職先を相談していた。龍牙に教えられた律の新しい就職先は宅配業者だ。
『純夜のことや律のことも、龍牙さんには面倒かけてすみません』
『水臭いこと言うな。しかし晴は昔っから情に熱いな』
『そんなんじゃないです。天国にいる由芽を悲しませたくないだけの、自己満足の正義です』
人間は自己満足で生きている。嫌われたくない、傷付けたくない、好かれたい、助けたい、突き詰めればどれも自己満足だ。