【Quintet】
本日二杯目のコーヒーに口をつけた晴は真珠色のカップの中身をまじまじと見つめる。
晴が注文したのはマンデリンのカフェオレ。ミルクと混ざるコーヒーの苦味に既視感を覚えた。
『このコーヒー、探偵事務所で飲んだ味と似てる……?』
『事務所の豆はここで買ってるんだ。旨いだろ?』
『はい。悠真がコーヒーに凝る奴なので土産に良さそうです』
晴達がいるEdenの二階はカフェ、一階はコーヒー豆の販売スペースになっている。悠真への土産に豆を買って帰ろう。
『龍牙さんとあの早河って人はどういう知り合いなんですか?』
『早河は元刑事だ。アキの相棒だった』
『アキさんの? ……まさかアキさんが庇った同僚の刑事が……』
『早河だ。アキの死の責任を取る意味もあってアイツは刑事を辞めた』
2年前の香道秋彦の訃報は黒龍の元メンバーにも伝わっていた。香道は同僚刑事を犯人の弾丸から庇って代わりに撃たれた。
『あの人を庇ってアキさんが亡くなったのなら、龍牙さんはあの人を責めたりしなかったんですか?』
『アキの両親や婚約者は早河を責めてたよ。妹のなぎさもな。そうすることでしか感情の行き場がなかったんだ』
晴も由芽の死の直後は律を責めた。律は由芽を守れなかった晴を責めた。
晴が注文したのはマンデリンのカフェオレ。ミルクと混ざるコーヒーの苦味に既視感を覚えた。
『このコーヒー、探偵事務所で飲んだ味と似てる……?』
『事務所の豆はここで買ってるんだ。旨いだろ?』
『はい。悠真がコーヒーに凝る奴なので土産に良さそうです』
晴達がいるEdenの二階はカフェ、一階はコーヒー豆の販売スペースになっている。悠真への土産に豆を買って帰ろう。
『龍牙さんとあの早河って人はどういう知り合いなんですか?』
『早河は元刑事だ。アキの相棒だった』
『アキさんの? ……まさかアキさんが庇った同僚の刑事が……』
『早河だ。アキの死の責任を取る意味もあってアイツは刑事を辞めた』
2年前の香道秋彦の訃報は黒龍の元メンバーにも伝わっていた。香道は同僚刑事を犯人の弾丸から庇って代わりに撃たれた。
『あの人を庇ってアキさんが亡くなったのなら、龍牙さんはあの人を責めたりしなかったんですか?』
『アキの両親や婚約者は早河を責めてたよ。妹のなぎさもな。そうすることでしか感情の行き場がなかったんだ』
晴も由芽の死の直後は律を責めた。律は由芽を守れなかった晴を責めた。