【Quintet】
抱き寄せられた胸元は彼の心臓の音がよく聴こえる。
『部屋……行こうか』
悠真の腕の中で沙羅が小さく頷いた。
どこにも行けない心と心は今だけは繋がりを求めている。
沙羅のカードキーを手にした悠真が彼女の部屋、415号室の鍵を開けた。暗闇の部屋に入り込んだ二人の抱擁はさっきよりも永く、強く。
『沙羅の一番好きな人は誰?』
「……わからない……わからないの……」
強く抱き締め、抱き合いながら、沙羅の本音が溢れていく。
「こんな感情があるなんて知らなかった。悠真が初恋の人だってわかる前から私は悠真のこと気にしてた。でも海斗や星夜も気になってて……。私は好きって言ってくれた人達が気になってるだけなの。ひとりになるのが寂しくて怖いから甘えさせてくれる皆に甘えてる。中途半端にキスを許して期待させて……私は最低だよ……」
堰《せき》を切って溢れ出る感情。これが三人に対して抱いていた罪悪感にも似た想いの正体。
「誰に本当の恋をしているのかわからない……。本当の恋が何なのかわからない」
『本当の恋か。俺にもわからないな。そもそも本当の恋って何だろうね』
悠真は泣きじゃくる沙羅の背中をさする。震える小さな背中は彼の腕に包まれていた。
『部屋……行こうか』
悠真の腕の中で沙羅が小さく頷いた。
どこにも行けない心と心は今だけは繋がりを求めている。
沙羅のカードキーを手にした悠真が彼女の部屋、415号室の鍵を開けた。暗闇の部屋に入り込んだ二人の抱擁はさっきよりも永く、強く。
『沙羅の一番好きな人は誰?』
「……わからない……わからないの……」
強く抱き締め、抱き合いながら、沙羅の本音が溢れていく。
「こんな感情があるなんて知らなかった。悠真が初恋の人だってわかる前から私は悠真のこと気にしてた。でも海斗や星夜も気になってて……。私は好きって言ってくれた人達が気になってるだけなの。ひとりになるのが寂しくて怖いから甘えさせてくれる皆に甘えてる。中途半端にキスを許して期待させて……私は最低だよ……」
堰《せき》を切って溢れ出る感情。これが三人に対して抱いていた罪悪感にも似た想いの正体。
「誰に本当の恋をしているのかわからない……。本当の恋が何なのかわからない」
『本当の恋か。俺にもわからないな。そもそも本当の恋って何だろうね』
悠真は泣きじゃくる沙羅の背中をさする。震える小さな背中は彼の腕に包まれていた。