【Quintet】
『沙羅は恋愛を綺麗なものとして美化してる』
「美化……してるのかな?」
『してるよ。恋の始まりは誰もが“たまたま”なんだよ。隼人と美月ちゃんもそうだ。たまたま隼人が宿泊した宿に美月ちゃんがいた……それだけ。恋の始まりはそんなものだよ』
離れた身体はぬくもりを欲しがって寂しがる。沙羅の髪を耳にそっとかけた悠真の指先が彼女の頬を包み込んだ。
『本当の恋はどこにもない。恋に本当も嘘もない。俺と海斗は、たまたま美琴先生のヴァイオリン教室で沙羅と出逢った。もしもそこにいたのが沙羅ではなく別の女の子だったら、俺達はその子に恋をしていたかもね』
「それは……イヤ……」
『でもそうなるんだ。出会う相手が違えば恋してる人間は別の人だった。沙羅は5歳の時に俺と海斗と出会って俺に恋をした。大人になってまた俺と海斗と、今度は星夜とも出会った。……今の沙羅が恋をする相手は誰になるんだろうな』
触れた唇は熱い。軽く接触した二人の唇は沙羅の防御によって二度目の接触を防いだ。
「ダメ……」
『ダメじゃない。沙羅が俺を思い出してくれたなら我慢しない』
両手で口元を押さえる沙羅の手の甲に悠真は唇を触れさせた。手の甲に押し付けられた彼の唇は熱くて柔らかい。
「ひゃっ……」
驚く沙羅に構わずに悠真は手の甲への愛撫を続ける。皮膚を這う舌の感触が沙羅の中のもうひとつの欲を呼び覚ました。
「美化……してるのかな?」
『してるよ。恋の始まりは誰もが“たまたま”なんだよ。隼人と美月ちゃんもそうだ。たまたま隼人が宿泊した宿に美月ちゃんがいた……それだけ。恋の始まりはそんなものだよ』
離れた身体はぬくもりを欲しがって寂しがる。沙羅の髪を耳にそっとかけた悠真の指先が彼女の頬を包み込んだ。
『本当の恋はどこにもない。恋に本当も嘘もない。俺と海斗は、たまたま美琴先生のヴァイオリン教室で沙羅と出逢った。もしもそこにいたのが沙羅ではなく別の女の子だったら、俺達はその子に恋をしていたかもね』
「それは……イヤ……」
『でもそうなるんだ。出会う相手が違えば恋してる人間は別の人だった。沙羅は5歳の時に俺と海斗と出会って俺に恋をした。大人になってまた俺と海斗と、今度は星夜とも出会った。……今の沙羅が恋をする相手は誰になるんだろうな』
触れた唇は熱い。軽く接触した二人の唇は沙羅の防御によって二度目の接触を防いだ。
「ダメ……」
『ダメじゃない。沙羅が俺を思い出してくれたなら我慢しない』
両手で口元を押さえる沙羅の手の甲に悠真は唇を触れさせた。手の甲に押し付けられた彼の唇は熱くて柔らかい。
「ひゃっ……」
驚く沙羅に構わずに悠真は手の甲への愛撫を続ける。皮膚を這う舌の感触が沙羅の中のもうひとつの欲を呼び覚ました。