【Quintet】
第三楽章 テトラコルド
二泊三日の岡山旅行から帰京して数日後、世間は盆休み真っ只中の8月15日。
お盆は先祖の霊が帰ってくると言うが、この日の夜は幽霊ではないけれどある人にとっては幽霊よりも恐ろしい人間が帰って来た。
五人揃って夕食にそうめんを食べていた午後7時。葉山家のインターフォンのメロディが軽やかに鳴り響いた。
{葉山様、白木様と仰る女性のお客様がお見えになっております}
「シラキさん?」
その苗字に心当たりはない。怪訝な様子の沙羅を気にした悠真が近付いてきた。
『どうした?』
「シラキさんって女の人が訪ねて来てるって」
『……ああ、その人、たぶん俺達のお客だ』
「そうなんだ! 早く入れてあげないと……」
『あー……いや……ちょっと待って』
珍しく狼狽する悠真は溜息の後にダイニングを一瞥した。ダイニングからは夕食の真っ最中の海斗達の声が聞こえる。
『沙羅さえいいなら入れてあげて。俺はアイツらに話してくる』
ダイニングに向かう悠真の足取りが重そうに見えたのは気のせい? 沙羅はコンシェルジュに来客を通す旨を伝えて受話器を置いた。
今から訪ねてくる“シラキ”と言う女性は悠真達の知り合いで彼らがここに住んでいると知っている?
(うーん。モヤッとする……)
ここは沙羅の家でもあり悠真達四人の家でもある。彼らを訪ねてくる来客がいてもおかしくはない。
お盆は先祖の霊が帰ってくると言うが、この日の夜は幽霊ではないけれどある人にとっては幽霊よりも恐ろしい人間が帰って来た。
五人揃って夕食にそうめんを食べていた午後7時。葉山家のインターフォンのメロディが軽やかに鳴り響いた。
{葉山様、白木様と仰る女性のお客様がお見えになっております}
「シラキさん?」
その苗字に心当たりはない。怪訝な様子の沙羅を気にした悠真が近付いてきた。
『どうした?』
「シラキさんって女の人が訪ねて来てるって」
『……ああ、その人、たぶん俺達のお客だ』
「そうなんだ! 早く入れてあげないと……」
『あー……いや……ちょっと待って』
珍しく狼狽する悠真は溜息の後にダイニングを一瞥した。ダイニングからは夕食の真っ最中の海斗達の声が聞こえる。
『沙羅さえいいなら入れてあげて。俺はアイツらに話してくる』
ダイニングに向かう悠真の足取りが重そうに見えたのは気のせい? 沙羅はコンシェルジュに来客を通す旨を伝えて受話器を置いた。
今から訪ねてくる“シラキ”と言う女性は悠真達の知り合いで彼らがここに住んでいると知っている?
(うーん。モヤッとする……)
ここは沙羅の家でもあり悠真達四人の家でもある。彼らを訪ねてくる来客がいてもおかしくはない。