【完結】冷酷なハズの騎士様が、何故か私を溺愛してきます…(´・∀・)?

12 多分…

小高い丘に聳える城は、5棟の建物から出来ており、まさに城塞だ。
庭には、バラが咲き誇っており、蔦が絡み合い交互に紅白の花を咲かせている。

庭には、ガーデンテーブルとチェアもあるが、若干錆びついており、使われている形跡は無い。

「そなたの部屋には、3階の眺めの良い部屋を用意した。
この城は見ての通り丘の上に建っている。
街全体が眺められて、窓を開けると心地よい風が入ってくるらしい。
気に入ってくれれば嬉しい。」

レイゼン様はおっしゃった。

らしい…とは?

レイゼン様のお部屋がどこにあるのかは知らないが、窓を開けて風に吹かれた事は無いのだろうか…?

そう、ふと疑問に思ったが、それは聞かずにお礼だけを述べた。

「ありがとうございます。
心遣いに感謝いたします。」

「どうせ、結婚すれば俺の部屋で寝てもらう事になるがな。」

レイゼン様は言った。

「それは…
結婚が決まった時から承知しております。
ねんねではありませんので。」

私はキッパリとそう言った。
戸惑いが無いといえば嘘になる。
私はまだ、キルラの事を…

しかし、このような美しい男性に抱かれる事に何の不満がある?
私には勿体ない話ではないか。

そう自分に言い聞かせた。

「まぁ…
俺もケダモノでは無い…
そう、襲ったりはしないつもりだ…
多分…」

不安過ぎるっ!

これはもう初夜は覚悟しなくてはならないだろう…

そして、レイゼン様の手を取り、馬車を降りた。
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