【完結】冷酷なハズの騎士様が、何故か私を溺愛してきます…(´・∀・)?

23 薄紫の瞳

「そ、そうではありませんけれど…!
馬を解体屋さんに頼んで…
馬をバラバラに…」

言っていてゾッとした。
そのバラバラになった生肉を切り、さらにレイゼン様はそれをお食べになると言うのだ。

馬といえば、乗馬で仲良しだったキャスカを思い出す。
それを…
食べる…?
生で…???

「良いんだ…
無理をするな。
可愛い馬をバラバラにした後でそれを食べては、俺は君に嫌われてしまうし、倒れられても困る。

せっかく手に入れた君を、もう離す気など無いのだから…」

そう言って、レイゼン様は薄紫の瞳で私の瞳を見つめた。

ダメ…
フラフラしてしまう…

何なの、一体…!?

私が椅子に倒れ込む一歩手前で、レイゼン様は私を抱きしめた。
抱き留めたのでは無い。
抱きしめたのだ。

「レ、レイゼン様…っ!」

急に抱きしめられて戸惑ったが、それ以上に驚いたのは、彼の、私を抱きしめる手がカタカタと震えて居た事だった。

「すまない。
君を抱きしめずには居られなかったんだ。
どうか、嫌わないで欲しい…
我が愛しき姫よ…」

レイゼン様はバッ!と私を引き離すと、私をゆっくりと椅子に座らせた。

「あ、ありがとうございます…」

「いや、すまない。
気分は?」

レイゼン様が私の顔まわりの髪をそっと退けながら言う。

「えぇ。
もう大丈夫です。

レイゼン様は私が怖いのです…か…?」

さっきの震える手を思い出して聞いてみる。

「ふっ…
君が怖いんじゃない、君に嫌われるのが怖いのさ。
まだまだ男心が分かっていないな。」

そんな風に言われて…

「あ、あら、私だって抱きしめられた事くらい…!」

私は余計な地雷を踏んでしまった。
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