【完結】冷酷なハズの騎士様が、何故か私を溺愛してきます…(´・∀・)?

31 前世の思い出

「そうだ…」

真剣な声色で言うレイゼン様に私は少し固まってしまった。

「前世で…
その、どんな風に…?」

私は一応尋ねてみる。

「君と前世で出会ったのは小さな孤児院だった…
君は今と同じ煌めくブラウンの髪に、エメラルドの瞳をしていた。
君はその頃、孤児院で働いて居て、掃除や洗濯、子供達の世話に駆けずり回り、ボロボロのワンピースを着ていたな。
それでも…
君の輝きは隠せる事はなく…
俺は慈善事業の為に気まぐれに訪れた孤児院で、君に恋に落ちたんだ。

俺たちは惹かれ合い、恋人同士になるのに時間は掛からなかった。
どんな時も、どんな事も、2人でやれば楽しかったのを覚えている。

君は…

キャメラ…?
寝てしまったか…」

そして、レイゼン様は私をもう一度ギュッと抱きしめると、おでこにキスをした。

「おやすみ、キャメラ。
良い夢を…」

私はレイゼン様の前世の話の半分程しか頭に入って居なかった…

だけど、その前世の夢をその日の夜微かに見た気がした。

♦︎

翌朝。

私が目を覚ますと、レイゼン様は深い眠りについていた。

寝顔までも美しいのね…

そんな事を思いながら、熟睡しているレイゼン様を起こさないように、そっとレイゼン様の腕の中から出た。

ダイニングホールに向かうと、侍女達が朝のスープパスタの用意をしていた。

私は魚介のミルクスープパスタをすすり、食べると、侍女のミアが話しかけてきた。

「レイゼン様はまだお休みなのですね、奥様?」

「えぇ、お疲れなのでしょう。」

「最近、奥様に合わせて無理なさっていたからでしょうか…」

え…?
私に合わせて…無理…?
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