【完結】冷酷なハズの騎士様が、何故か私を溺愛してきます…(´・∀・)?

33 千年でも

マフィーズ城は王都外れに静かに立つ美しい城で、ゼクス様のお人柄を思わせるような華麗でチャーミングなものだった。

私の馬車が見えたからか、ゼクス様は馬車の入り口で膝まずき、私が降りるのを待った。

「キャメラ、君がこの城に来るのを僕は、千年でも待つつもりだった…」

ゼクス様は私の手の甲に口付けてそう言った。

レイゼン様と言い、ゼクス様と言い、少し表現が大袈裟過ぎないか?
千年とか百年とか、はたまた前世ですって?

そんなの信じられるはずはないわ。

だけど、確かにレイゼン様は私に何かを隠している。
その答えを、ゼクス様に聞こうとしているのだ…
これは、ズルだろうか…?

そんな事を考えながらも、広いリビングに通された。
魔法シャンデリアでもちろん、中は明るいが、カーテンは全て閉められていた。

「紅茶かな?コーヒーかな?
それとも、ワインでも開けようか?」

饒舌に言うゼクス様に、私は紅茶を頼んだ。
紅茶はピーチティーで、とても美味しかった。
私はごくごくと飲んでしまった。(来るまでに喉が渇いていた)

「ここに来たのは…
ひみ…つ…
あれ…?」

めまいがする…

私はソファから滑り落ちた。

けれど、痛くなかった。
身体が…浮いて…いる…???

目はもう既に開かず、感覚だけでそう感じた。
しかし、そんな馬鹿なことはあるはずが…

「キャメラ…
いいや、フィオーネア…
僕の最愛の姫…

やっと、君を…」

そして、私の身体はゼクス様の腕に抱かれた。

レイ…ゼン…様…

私は意識の最後でそう思った。
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