【完結】冷酷なハズの騎士様が、何故か私を溺愛してきます…(´・∀・)?

9 夢の中でも

帰りの馬車の中、少し試着で疲れたのと、昨日の夜、本を夜更けまで読んでいたので、眠くなってしまった。

馬車にガタンコトンと揺られていると、いつの間にか夢の中に入ってしまった。

『…ネア…
俺を置いて行かないでくれ…』

そんな声がして、夢の中で自分が息絶えている姿が見えた。
夢の中でまで死にかけているのか…
夢の中の私は現実の世界の私よりも、僅かに色が白かった。

そんな風に俯瞰して、死に行く私を天井の部分から見ている。

そばで涙を流すのは…

レイゼン…さ…ま…?
に、とても似て居た。

髪の長さが違うので、別人であろうか?

そんな夢から…

「キャメ…
キャメラ…
起きないと、襲ってしまうぞ…」

レイゼン様の声が聞こえた。

私はレイゼン様の膝の上で、事もあろうに涎を垂らして眠りこけていたのだ。

夢の内容もすっかり忘れてしまった私は、レイゼン様の膝から起きあがろうとする。

「し、し、失礼いたしました…!」

すると、また、めまいがした。

この人に近づくといつもそうなのである。
一体何の魔術を使っているのか?

そういえば…

レイゼン様は剣の腕は敵千騎並だと聞くが、その魔術においては闇魔法を使い、敵一万騎に匹敵するとも聞いた事がある。

私にも何かいかがわしい闇魔法を…?

そう思わずにはいられない。

「キャメラ。
大丈夫か?」

レイゼン様は私を軽く抱き留めると、馬車の席に綺麗に座らせた。

いかがわしい闇魔法の話は、今はやめておこう…
そう思った。
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