鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「なるほど、それでクライド殿下が私を護衛に」
「私は一度、ヴェルダー卿に助けられたことがあるので、クライド殿下が配慮してくださったのだと思います」
「助けた? それが二年前の狩猟大会のことですか?」

 私は頷いて見せたが、デニス様は考え込み、首を横に振った。

「申し訳ありません。やはりヘイゼル嬢にお会いした記憶が……」
「大丈夫です。ヴェルダー卿にとって、令嬢を助ける機会は多いでしょうから」

 ニコリと笑って見せると、デニス様も安堵した表情をされた。
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