鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「いいえ。今はクライド殿下の婚約者になったので、無下に扱われていません」
表向きは。そう、長年してきた行為をすぐに改めることはできないのだ。何かの折に触れた途端、昔のように叱責される。
さすがに折檻や食事を抜くようなことをすれば、クライド殿下に気づかれる恐れがあるため、なくなったけれど。それでもやはり……怖かった。
「そうでしたか。しかし初めての外出で狩猟大会とは……ファンドーリナ公爵も何を考えているのか。危険区域の入り口だって人が立っているわけではなく、目印にスカーフが巻かれているだけで……もしかしてあの時、誤って入ってしまった令嬢が?」
「はい。私です」
危機管理がなっていなかった私も悪かったのだが、デニス様の言う通り、兄も配慮に欠けていた。私は兄にとって数少ない駒であり、カードだというのに。
表向きは。そう、長年してきた行為をすぐに改めることはできないのだ。何かの折に触れた途端、昔のように叱責される。
さすがに折檻や食事を抜くようなことをすれば、クライド殿下に気づかれる恐れがあるため、なくなったけれど。それでもやはり……怖かった。
「そうでしたか。しかし初めての外出で狩猟大会とは……ファンドーリナ公爵も何を考えているのか。危険区域の入り口だって人が立っているわけではなく、目印にスカーフが巻かれているだけで……もしかしてあの時、誤って入ってしまった令嬢が?」
「はい。私です」
危機管理がなっていなかった私も悪かったのだが、デニス様の言う通り、兄も配慮に欠けていた。私は兄にとって数少ない駒であり、カードだというのに。