鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「分かりました。ヘイゼルから母上を引き離せば、よろしいのですね」
「フェリクス!」

 義母が叫んでも、兄は容赦なく言い放った。

「私もそろそろ、母上には領地に引っ込んでもらいたかったので、丁度良いかと。このような母がいては、私も結婚できませんからね」
「それではまるで、夫人がいたからできなかったと言わんばかりじゃないか」
「事実ですから、仕方がありません」
「では父上に言って、公爵に似合う人物を見繕ってもらうように頼んであげようか」
「おや、クライド殿下が? それは是非」

 しかしこれが、兄の転落を招くことになるとは、この時は露にも思わなかったことだろう。
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