鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「可愛いところです」
「かっ……!」
「あと俺の印象とクライド殿下から聞いた印象の違い、でしょうか。そこも含めて可愛いのですが、ざっくばらんな態度をクライド殿下にだけ見せているのが許せないというか。ヘイゼル嬢といる時間は俺の方が長いのに、そういう素振りを見せてくれないのが残念で仕方がありません」

 つまり、嫉妬してくれたってこと? それくらいで私のことを……でも!

「無理です! クライド殿下はどうでもいい、というか取引相手だから、そのように接するだけで。デニス様に対する態度の方が特別なんです!」
「……特別」
「当たり前ではないですか。好きな人にはよく思われたいし、ざっくばらんな態度なんてできるはずはありません!」

 今だってデニス様に手を握られて、こんなにもドキドキしているのに。

「それにデニス様だって、私に対する態度が普段のお姿なのですか?」
「っ!」
「私だって、気さくに話していただきたいです」
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