鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「いや、待っているのは僕だよ。ケイティには、そういう風に振る舞うように指示を出したのだからね」
「どうしてですか? ケイティ夫人が困ることになるのですよ」
「困らないさ。それを理由にケイティを侮辱したとして、公爵の地位を剥奪させる手筈になっているから」
「え?」
「父上も困っていたのだよ、公爵の振る舞いにはね。だから「平民に下りたければ、綺麗に掃除していけ」と条件を突きつけられた」
「は? では何のために、王太子になられるのですか?」

 兄の件は、何もしなくても片付けられそうな気がする。

「僕なりの責任かな。公爵を排除すれば、ヘイゼル嬢はもう僕の婚約者でいる必要はないからね。でもそうすると、ヘイゼル嬢の経歴に傷がついてしまうだろう?」
「私は……メイドの子ですから、傷つくのもなにも……」

 すると後ろからデニス様が、私の肩にそっと触れた。
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