鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
「話は最後まで聞いてくれ。それとしおらしい姿はヘイゼル嬢には似合わないよ。いつもみたいにズバズバ言ってくれないと」
「……まるで、失礼な女だと言われているように感じるのですが」
「違うのかい? ヘイゼル嬢が公爵に代わってファンドーリナ公爵家を率いることができる器だと思ったから、僕はヴェルター卿を紹介したのに」
「何をおっしゃっているのか、理解できません」
「今はそれでいいよ。僕は僕で、ヘイゼル嬢をファンドーリナ公爵にするために、王太子になるから」

 そう言って席を立ち、クライド殿下は宣言通り、王太子になるために、国王の前へ行き跪いた。
 けれど、相変わらず何を言っているのかよく分からない王子だった。

 全く、私が公爵だなんて、王太子になった方が平民になりたいとおっしゃるくらい、おかしな話だわ。
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