鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
 ***


 けれど吉報……いや、悲報が入ったのはそれから一ヶ月後のことだった。

「ヘイゼル、これで貴女は自由よ!」

 ケイティ夫人がアングラード侯爵邸にやって来たのだ。それもクライド殿下と同じで、唐突に何を言っているのか、といったご様子で。

 いや違う。手を振りながら、カゼボにいた私とデニス様のところまで来たものだから、驚きの方が大きい。

「ど、どうしたのですか? お義姉様。しかも自由って」
「ふふふっ、言葉のままよ。今日、無事に離婚が成立してね。ファンドーリナ公爵夫人から王女に戻ることになったの」
「それはおめでとうございます。しかし私の自由と、どう繋がるのでしょうか?」
「あら、クライド兄様から聞いていないの? 離婚の成立と同時にフェリクスは廃位されるのよ。私を蔑ろにしたという理由でね。しかもクライド兄様よりも先に平民になるっていうわけ。全く、傑作だと思わない?」
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