鐘が鳴った瞬間、虐げられ令嬢は全てを手に入れる~契約婚約から始まる幸せの物語~
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 それは案外、悩む必要はなかった。

「おめでとうございます、ファンドーリナ公爵様」

 ケイティ王女様のおっしゃる通り、私は空席になったファンドーリナ公爵を国王様から(たまわ)った。今日はその祝いのパーティーなのである。

「まぁ、その青いドレスはメル・ネバヨマウルの新作ですか? レースが肩から斜めに、まるで体を巻きつけるようなドレスは、エレガントで細めの公爵様にとてもお似合いですわ。それにこれは真珠ではありませんか。なんて素敵なのかしら」

 王太子、クライド殿下の婚約者にして、ファンドーリナ公爵まで得たことで、まわりはこれでもかというほど褒め称えてくる。
 婚外子であり、メイドの子だと蔑まれたこのファンドーリナ公爵邸で、男女関係なく私に取り入ろうと必死だった。

 それはあまりにも滑稽だが、更なる展開が待ち受けていることを、目の前の令嬢は知らない。しかし貴族令嬢というものは目敏(めざと)いもので、指摘せざるを得なかったのだろう。
 いくら、お近づきになりたい相手であっても。
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