恋愛なんてしない

私はそっと横を通ってエレベーターを使ってロビーに降りる。


「瑞希…瑞希!!」

「会社で名前、呼ばないでよ。」

「じゃあ何で無視するんだよ。」


光希が追いかけてきたようで、私が歩くのをやめなくてもそのまま追いかけてくるのが分かる。


「なんでって…。考えてみればわかることじゃない?」

「別にたまに飯行くくらいいいだろ。」


私には分からない。

特定の相手が居ながらも他の人と一緒にごはんに行く理由が。

「じゃあ行けば。楽しんで。」

「何でそういう言い方しかできないかな。」


私の反応が嫌なのか、光希ははぁっとため息を漏らす。

「私がそういうの嫌ってわかってて見えるところで誘うそっちの気持ちも分からない。」


「あのさぁ。後輩とのコミュニケーションだって大事な仕事のうちの1つだろ?」

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