恋愛なんてしない
「大体さ、瑞希はいつもそうじゃん。納得いってないような顔して肝心な事は何も言わない。」
「言っても意味ないからね。同じこと何度も繰り返してることに気付かないんだもん。」
「俺なんかした?」
あぁ、全く覚えてないんだなってそこで思った。
私この人と本当に結婚できる?
いや、無理でしょ。
あぁ、なんかもうどうでもよくなってきた。
「してないんじゃない?」
「その言い方だとなんかあるって言われてるようなもんなんだけど。俺たち結婚するんだよね?」
「うん、するつもりだったけどもういいや。これ返す。ごめん、私あなたと結婚できない。」
そう言って、左手の薬指についていた婚約指輪を光希に渡す。
「は?え、なんで?冗談だよな?」
「私のこの顔、冗談に見える?私と光希、やっぱり合わないよ。結婚しても上手くいかない。」
幸いお互いの両親への報告もまだだったし、というかプロポーズされてから半年。籍を入れる動きが全くなかったのも私の中では引っかかっていた。
私から入籍日はいつにしようかとか聞いてみても、仕事が忙しいとか、ちょっと待ってとか。そんなことばかりではぐらかされてきた。